標準的な年金支給額

さて、標準的な年金の支給額をみていくことにしましょう。2004年に改正があり、ここでの前提は、標準的年金受給世帯で、65歳で受給し始めた時点の年金額(夫婦の基礎年金+夫の厚生年金)が、現役世代の平均手取り収入に対して50%を上回る給付水準を確保することとなっています。いわゆる所得代替率です。
標準世帯とは、夫の平均的収入であり、40年間の就業、妻がその期間は全て専業主婦だった世帯となっています。これは、2007年3月に公表されたもので、厚生年金の標準的な年金額(夫婦の基礎年金額含む)の見通しです。
結果としては、昭和16年(1941年)度生まれ65歳の月額22.7万円から、昭和61年(1986年)度生まれ(20歳)の月額37.3万円と次第にアップしています。しかし、所得代替率は逆に59.7%から徐々に下がって、51.6%となっています。
こうした状況の年金制度に対する国民の関心はかなり高く、年金制度の持続可能性の問題や世代間、世代内の不公平感の是正も求められているわけです。
一応、年金受給が始まった65歳以降の年金額は物価上昇に応じて改定されるのですが、現実には、物価上昇度より賃金上昇率の方が大きいので、結局は現役世代の所得に対する比率が低下するのです。
既に年金を受給している人についても、年金改定は緩やかに抑制されているので、年金額の現役世代所得に対する比率はやはり低下します。こうして書き進めていると、ちょっと不安感があるのは否めないところです。